シネフィルとは呼べなくて。

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『アベンジャーズ/エンドゲーム』感想 1 / 14,000,605

アベンジャーズ/エンドゲーム』

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(原題:Avengers: Endgame)

 

---点(測定不能) / 100点(満点中)

ひとこと・・・3000回愛してる。

 

あらすじ:最強を超える敵“サノス”によって、アベンジャーズのメンバーを含む全宇宙の生命は、半分に消し去られてしまった…。
大切な家族や友人を目の前で失い、絶望とともに地球にとり残された35億の人々の中には、この悲劇を乗り越えて前に進もうとする者もいた。
だが、“彼ら”は決して諦めなかった──
地球での壮絶な戦いから生き残った、キャプテン・アメリカ、ソー、ブラック・ウィドウ、ハルク、ホークアイ、そして宇宙を当てもなく彷徨いながら、新たなスーツを開発し続けるアイアンマン。
ヒーローたちは、大逆転へのわずかな希望を信じて再び集結する。はたして失った者たちを取り戻す方法はあるのか?
35億人の未来のために、そして“今はここにいない”仲間たちのために、最後にして史上最大の逆襲<アベンジ>に挑む。
最強チーム“アベンジャーズ”の名にかけて──。(公式サイトより)

 

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 ※※※この映画はほんのネタバレも見ない方が絶対楽しめます!!以下の感想は多少ならずともネタバレの領域に突っ込んでいるので未見の方は要注意!!!※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

◎最強の、終わり。

遂にこの時がやってきてしまいました。マーベル映画が同じ世界観を共有した「マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)の22作目に当たる作品であり、そしてこの作品でユニバースに大きなピリオドが打たれます。ユニバース1作目『アイアンマン』から数えると、約11年。遂にここまで来たかぁという気持ちです。 

アイアンマン (字幕版)

アイアンマン (字幕版)

 自分はこの22作全て封切り直後に必ず映画館で見てきたのですが、最初の『アイアンマン』の頃は、

日本では知名度、話題度一切なし

全米公開よりも4ヶ月以上も遅い(確か日本で公開した頃にはアメリカでもうブルーレイが出てた)

公開直後に見に行ったのに映画館ガラガラ

 という今では考えられない悲惨っぷりでした。なお、配給で揉めたのか、アイアンマンの1作目は製作会社のパラマウントではなく、ソニー・ピクチャーズが配給してました。公開の遅延もそれが原因でしょう。よっぽど売れる見込みなかったんだろうな。。

 

それが、11年経った本作ではチケットは発売直後に軒並みソールドアウト。街には「MARVEL」のロゴを付けたアパレル、グッズを身に着けた人で溢れ返っています。この10年で日本での「アメコミ」における社会的立ち位置は劇的に良くなったんだなあと実感せずにはいられません。

 

 

さて、1年前の前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はとにかく衝撃的な映画でした。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー (字幕/吹替)

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー (字幕/吹替)

 とにかく増えに増えたヒーローをそれぞれ一人残らず魅力的に描く。主に3組(タイタン組、地球組、宇宙組)のチームをそれぞれ同時進行で展開されるのに驚くほどスムーズなストーリー運び。スーパーヴィラン・サノスの、ある意味では「主人公」っぷり。

そして何よりも、ヒーローがヴィランの前に完全敗北し、全宇宙の半分の生命体が消滅してしまうというラストでした。勿論、ヒーローも分別なく半分消滅していくのです…あのヒーローが…あのヒーローが…

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ヒーローの生死一覧はこちら。上手い感じに初期メンだけ残ったなあということは絶対言っちゃダメ。

 

あまりに完成度・衝撃度が高すぎて、正直今作『エンドゲーム』はどう考えても『インフィニティ・ウォー』を超えることはできないだろうと公開までのこの1年間考えていました。

 

 …しかし、そんな考えは杞憂でした。今作は作品の完成度云々よりも、今までMCUを見続けてきた人たちにとって同窓会と卒業式のようなもの。そして、11年間ありがとうという製作陣から贈られてきた最高のギフト。それがこの『エンドゲーム』なのです。もう1本の映画という範疇超えちゃってますね。。

 

因みに本作のサブタイトルになっている「エンドゲーム」という言葉は前作『インフィニティ・ウォー』でドクター・ストレンジが発言していた台詞の一つでもあります。サノスとの戦いで敗北後、タイム・ストーンを手放してしまったストレンジが「あとがなくなったなwe're in the endgame now.)」と言っています。この戦いの前に、唯一の勝つ方法を予知していたストレンジの台詞だからこそ、とても意味深なタイトルになっているのです…

 

アベンジャーズによる"時間泥棒"

 前作も衝撃でしたが、今作も衝撃なんてものではなかった。。

予告編でも散々流れていた、トニー&ネビュラによる宇宙漂流。如何にしてトニーが地球に還って来るのか?!が本作のメインストーリーになるのかと思ってましたが、まさかの映画開始5分で普通に帰還

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キャプテン・マーベル、あいつチート過ぎだろ…

 

そして、あんなに引っ張っていたトニーとスティーブの再開の瞬間も。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (字幕/吹替)

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (字幕/吹替)

二人に何があったかはこの映画。 

 

今作のトニーとスティーブの会話は例外なく涙腺が崩壊しました。。『シビル・ウォー』でブラックパンサーに付けられた盾の傷もトニーが直してくれたんだなあと思うと本当に。。 この二人には一本の映画では到底描くことのできない歴史があるのです。ずっとMCUを見続けてきた者にしか理解できない感動なんですよ。。(まあ本作全体的に言えることですが)

 

 そしてそして、前作で完全敗北した宿敵サノスを映画開始15分で瞬殺。この瞬間「あ、この映画は前作の続きをやろうとしているわけじゃないんだ…」と悟るのです。その予感は当たり、物語は前作から5年後の世界へ。

(本当にたまたま量子世界から帰ってこれた)スコット=アントマンがふと見つけたタイムトラベル(彼らは時間泥棒と称していましたね)の理論を利用して過去に戻り、サノスに破壊される前のインフィニティ・ストーンを全て集め、もう1回指パッチンして消えてしまった人を元に戻す、という流れに話は展開していきます。

 …この流れについては、大方の予想通りだったのではないでしょうか。前作で完全敗北した後に復讐(アベンジ)するには、過去に戻るしか方法はなさそうな雰囲気は醸し出してましたし、『アントマン&ワスプ』内で量子世界では過去も未来を超越する可能性が示唆されてました。

アントマン&ワスプ (字幕/吹替)

アントマン&ワスプ (字幕/吹替)

意外にも本作のキー的な作品。 

 

タイムトラベルや量子世界についてあまり難しいことは分かりませんが、本作で説明されていたのは、「過去を変えたところで現在の流れは変わらない」ということで合ってるよね…?つまるところ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ターミネーター』と言ったタイムトラベル系映画の鉄則に真っ向から反論していると。

 身も蓋もないことを言ってしまうと、タイムパラドックスによって起こる余計な矛盾を避けたかったんだろうなあと。あとルッソ兄弟監督作品はよく別の映画の言及がよく出てきますよね。『スター・ウォーズ』とか『エイリアン』とか。

 

アベンジャーズ達はまた3チームに分かれて、3つの時代に行き、6つのインフィニティ・ストーンを探します。

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インフィニティ・ストーンの詳細はこちら。

 

1箇所目は『アベンジャーズ』で登場したNY。物語の鍵となった四次元キューブの中に入っていたスペース・ストーン、ロキの杖に仕込まれていたマインド・ストーン、(物語には登場しませんでしたが)同時期にサンクタムでエンシェント・ワンが守護していたタイム・ストーン

アベンジャーズ (字幕/吹替)

アベンジャーズ (字幕/吹替)

 

2箇所目は『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』で登場したアスカルド。ソーの元恋人ジェーンの体内に入ってしまったエーテルリアリティ・ストーン

 

3箇所目は宇宙。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で登場した惑星モラグでは、物語冒頭でクイルが盗み出そうとしていたオーブ=パワー・ストーン。そして前作『インフィニティ・ウォー』でやっと初登場した、惑星ヴォーミアにあると言われているソウル・ストーン

この時はクイル痩せてたよなぁ… 

 

この一連のシーン。過去作を知っているとめちゃめちゃ楽しい!!最高の一言しかありません。「こんなことがあったなあ」という振り返り=総集編としての役割は勿論、「あの戦いの裏にあんなことがあったのか!」という今まで見てきた人しか分からないファンサービスとしての機能もあったかと思います。

特に印象に残ったのがNY!戦いの最中に実はサンクタムで魔術師達も戦っていたという驚くべき事実。そして、ロキとの決着が着いた後のシーンに当時のシールド=ヒドラが介入していたという驚くべきシーン… そして、キャプテン・アメリカvsキャプテン・アメリカの対決(昔キャップ「一晩中やれる」 →現在キャップ「だろうな」には笑いました)、そして『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の伝説のエレベーターシーンの再現…等、とにかくファンにとってたまらないシーンがてんこ盛り。見ながら興奮の渦で訳分からないことになってたよ。。

 伝説のエレベーターシーンはこの映画。ルッソ兄弟が監督した記念すべき初のMCU作品です。MCUということを抜きにしてもめちゃめちゃ面白いです。

 

エンシェント・ワンを演じたティルダ・スウィントン、アレクサンダー・ピアースを演じたロバート・レッドフォードとゲスト出演も豪華すぎて。。本当にこれが集大成なんだなぁという感じです。というかロバートレッドフォードは俳優引退宣言してなかったっけ…?

 

アスガルドもモラグも、そしてヴォーミアもファンサービス満載で楽しかったですが、やはりNYが群を抜いて秀逸。

更には(主にハルクとロキのせいで)四次元キューブの回収に失敗したトニーとキャップは1970年にタイムスリップ。キューブと(現在のタイムラインの帰還に必要な)ピム粒子を回収することに。そこでトニーが出会うのは、実の父親、ハワード。ここでの会話も、スタークの過去を知っていれば涙なしには見れません。

生前はあまり仲が良くなかった二人。ある日突然両親の死(実はウィンター・ソルジャー=洗脳されたバッキーが実行犯だった…)に遭遇してしまったトニーにとって、「父親との和解」はどんなに富を得ても、どんなに沢山の人を救っても、外すことのできない呪いでした。それがひょんなことでトニーの呪いは浄化されたのでしょうね。。しかも、時はトニーが生まれる直前。既に一児の父親だったトニーは、人生の先輩として父親のハワードに親としての心構えを教える。。トニーの心はどれだけ救われたのだろうか… 

また、一緒に過去に戻ったスティーブにとっても、戦争で引き裂かれた最愛の人、ペギーの姿を見つけます。元気そうなペギーの姿を見たスティーブは… そうです。あのシーンに繋がるんですねえ。どんだけ隙のない脚本なんだ…

 スティーブとペギーの馴れ初めはこの映画。後から見返す度にこの1本の重要性がどんどん増していく、ある意味不思議な作品です。

 

まさに、このタイムトラベルはトニーとスティーブにとっての予想だにしていなかった「救済」になったのです。(ロキ、よくやったぞ!)

 

これらタイムトラベル全般のくだりは、DVDになって何回見ても新しい発見がありそうですね。

 

 

◎"Assemble"

6つの石をそれぞれ"全然無事ではなく"回収して現代に帰ってきたアベンジャーズ達。何とか指パッチンすることを成功したように見えたのだが…?!

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このキャップは帰還後のシーンでした。涙の訳はまさかまさかの…

 

その最中、過去のサノスが過去のネビュラ=(同じメモリーを共有する)現在のネビュラを介してこの一連の計画を知ってしまい、サノス一味も現在の時間軸へタイムトラベル&現在のアベンジャーズに襲撃…!この展開、全く予想できなかった。というか、この展開を予想できた人いるの?!ということを声に大にして言いたい気分。

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絶体絶命に陥ったアベンジャーズ達。その時、既に塵となって消えていたはずのサム=ファルコンからキャップへ一つの無線が。「キャプテン、左を見るんだ。(この台詞も『ウィンター・ソルジャー』からのオマージュ) そこには消えてはずのヒーロー達が。。

そして、ファンが10年待ち続けた、待ち焦がれたあの念願の台詞をキャプテン・アメリカが遂に…!

Avengers Assemble !!!!!

※この台詞は原作におけるキメ台詞(ONE PIECEにおける「海賊王に俺はなる!」的な)なのですが、なぜかこれまでの映画で一度も発言しておらず… つまり、ファンは散々MCUに焦らされていた、という長い歴史があったのです。

 

 

この後は…正直、興奮し過ぎてあまり覚えてません。とりあえず雑多な感じを以下に記しておきます。

 

BIG3 vs サノス!!

・・・(このシーンは厳密に言うとアッセンブルの前ですが)アベンジャーズにおけるBIG3(アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー)対サノスの戦いは燃えましたね。。 『アベンジャーズ』では3すくみで戦ったことはあれど、3人で共闘は初めてなのでは…? この3人がずっとMCUを引っ張ってきたんだよなあ、、と考えてしまうと自然に涙が…

そしてサノス。インフィニティ・ストーンなしでも3人に一歩も引かないぐらい強い。本当に強い。そりゃあストーンの力も使えた前作は勝てるはずがないよなあと思わずにはいられない。キャップの盾を真っ二つに割るなんてお前本当何モンだよ…地球上で最も硬い金属で作られてるんだぞ…

 

・キャップが遂にムジョルニアを!!

・・・これもファンが待ちわびた瞬間。(鑑賞した映画館では歓声が起きてました) ソーの代名詞とも言えるハンマー武器・ムジョルニアは高潔な精神を持つ者しか持ち上げられないという設定があるのですが、これを遂にキャプテン・アメリカが持ち上げたのです!!

 アベンジャーズシリーズ2作目『エイジ・オブ・ウルトロン』ではヴィジョンがムジョルニアを持ち上げていましたが、実はこの映画冒頭でスティーブも「実はハンマー持ち上げられるの?」と暗示されたシーンがありました。

原作ではキャップがムジョルニアを持ち上げられるということは結構有名な設定であるので、ここでも最高のファンサービス をかましてくれましたね…!

 

・トニーとピーターの再開!! 

・・・このシーン、長い長い本作の中で、個人的に最も泣いた瞬間だったかもしれません。(いや、もう他のシーンで十分泣いてるんだけど) 今までのトニーはどちらかというと一匹狼で、群れることは基本的に向いていない性格。しかし『シビル・ウォー』で大事な親友だったスティーブを失った彼にとって、ピーター=スパイダーマンは唯一の可愛い弟子であり、また、自分のことを尊敬してくれる大事な仲間。そんなピーターを目の前で失ったトニーの悲しみは想像するだけで心が痛みます。。

そして、長い長い困難を経て、遂に復活したピーターを目の当たりにしたトニーは無言でピーターを抱き上げるのです。あの捻くれ者で素直じゃない性格のトニーが。何のジョークもかまさずただただ無言で… 本当にこのシーンを撮ってくれて監督ありがとうと言わせてくれ。

今作のスパイダーマンは、マーベルが誇るスーパーヒロインに囲まれたり(そりゃあピーターは母性本能くすぐられるよね…)、『ホームカミング』で一瞬登場した「即死モード」がまさかの出番があったり(当時は人を助けるのがメインのスパイダーマンにとって一番いらない機能だな〜なんて思ってたけど…)、短い出演時間ながらも印象に残りました。さすがマーベルの人気者。

 トニーとピーターの師弟関係が見れるのはこの映画。

 

・スクリーン目いっぱいに広がる22作分の集大成!!

・・・ラストバトルは本当に幸せの一言。あのキャラが、あのキャラが…同じ画面に映っている…! もう、アメコミ映画史どころか、ハリウッド映画史に残る歴史的シーンなのでは…?!

個人的に印象に残ったのは、なぜか普通にアイアンマンスーツを使いこなしているトニー夫人・ペッパー。(『アイアンマン3』で少し着ていたとはいえ… 5年の間に実はトニーの訓練を受けていたとか…?) そして、クイルと、過去の"記憶のない"ガモーラの邂逅。おそらくもう戻って来ないであろうガモーラと再開すると言うある意味悲しいシーンなのですが、「こんな奴に私惚れてたの?」と切り捨てるガモーラは勿論、「こいつか木の二択だった」というネビュラひどすぎ…笑 「ガーディアンズ」組はどんなに話がシリアスでも常にコメディにメーターを振り切っていて本当徹底してるなぁ。

 ペッパーがスーツを少し着ていたのはこの映画。この話のエクストリミス周りの展開を考えたら、スーツぐらい着こなせても何の問題もないっすね。。

 

 

そして、この戦いの果てに待ち受けるものは…

 

 

 

◎1 / 14,000,605

前作『インフィニティ・ウォー』内でドクター・ストレンジは未来を予知し「この戦いが招くあらゆる可能性」を試算していました。その結果、こちらが勝利する確率は1/1400万605。本作『エンドゲーム』では、その1/1400万605が描かれます。あの結末を知ってしまったストレンジにとって、トニーを最後の決戦に向かわせた心情は想像を絶するものだったでしょう。。トニーとストレンジの最後のアイコンタクト、痺れました。

ドクター・ストレンジ (字幕/吹替)

ドクター・ストレンジ (字幕/吹替)

 なぜドクター・ストレンジが未来を見通せるかはこの映画で。

 

さて、この「1/1400万605」という数字。劇中ではサノスを倒す確率として使われましたが、自分はこの数字がMCU1作目『アイアンマン』から、この『エンドゲーム』まで辿り着く可能性とほぼ同じなのでは?と思わずにはいられないのです。

 

・映画が1作ヒットするだけで十分大変なのにもかかわらず、それを21本続けて成功してきた。

・著名なキャストをほぼ変更なしに10年間続けてキャスティングすることができた。

・22本全てが同じ世界観を共有し、全てが矛盾のないように作られ、そして全てのクライマックスを『エンドゲーム』に持ってくるように計算した。

スパイダーマンに関しては、映画会社の垣根を超えて制作することができた。スパイダーマンの映画会社契約問題はこの記事辺りで)

 

これら一連の出来事が容易だったとは、素人の自分でも到底思えません。 映画制作スタッフ一人一人の最大限の努力、そして時には運やタイミングが影響したこともあったでしょう。

全てが繋がって、この『エンドゲーム』を映画館で観れたことは、実はサノスを倒すのと同等の確率=とんでもない奇跡だったのかもしれません。

 

上で「製作陣から贈られてきた最高のギフト」と形容しましたが、ずっと観てきたMCUファンこそ、製作陣にありがとうの気持ちを伝えたくなる映画。それが、この『エンドゲーム』なのではないでしょうか。

本当に11年間ありがとうございました。

そして、これからもよろしく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

+++以下、特にネタバレ注意!+++

本当にネタバレあり感想、ツッコミ】

◎好きだからこそ、の不満点

・ソーの見た目・・・これにはがっかりした人も多いのではないのでしょうか。まさか、ビール腹の見た目で最後まで戦うことになるとは… ソーには最後ぐらいはまともな姿で戦って欲しかった。。(父親オーディンの見た目には近付いたけどかもだけど)

移住したアスカルドで『バトルロイヤル』に登場したコーグもちゃっかり出ていたのは良かったですね。

ソーは結局最後は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に合流したっぽいので「Vol.3」にも出演するのかな??それにしても『スパイダーバース』に続き、2019年は腹の出ているヒーローがトレンドなのか…?

 短髪がイケてたソーの第3作目。実はコーグを演じているのはこの監督、タイカ・ワイティティだったりします。

 

・変テコな日本・・・物語冒頭、クリント=ホークアイが家族をサラサラされ復讐の鬼と化し、「ローニン」と呼ばれるキャラになるのですが… 舞台は(おそらく)日本。雨が降りしきる夜、ネオン街… うん、これ『ブレードランナー』の世界ですね。ハリウッドにおける日本のイメージはブレードランナーから全然進歩してないんだなあと少しばかり悲しい気持ちに。 真田広之はカッコよかったですね。登場時間2分に満たない感じでしたが

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クリントの日本語も正直聞き取れなかったよ…

 

・見たかった絡み・・・21本の集大成です。尺の都合上仕方ないのは百も承知ですが、どうしても見たかった絡みが「トニーとバッキーの和解」「キャロル=キャプテン・マーベルとフューリーの再開」の二つ。

トニーとバッキーは『シビル・ウォー』のしこりを解消してほしかった。。多分、二人は気が合うと思うんだ…

そして、キャロルとフューリーの再開。『キャプテン・マーベル』の流れ的に間違いなく本作で何かあるだろうと思ったけど、特に何もありませんでした。(二人並んでるシーンはありましたが)髪型のこととか眼帯のこととか、色々いじって欲しかった…笑

 

 

・ストレンジは何で前作でタイムストーンを使わなかったのか・・・これは前作で生まれた一番の疑問点でしたが、特に回収されず。サノスとの最終決戦で、最強の武器であるタイム・ストーンをストレンジはなぜ頑なに使わなったのか。あのドルマムゥすら屈服させた力を…

1/1400万605の調節の為、なのか…?

 

・ロキは結局四次元キューブ持ち逃げしたままだけど・・・大丈夫なの?

 

キャプテン・マーベルの扱い全般・・・『キャプテン・マーベル』を見たときは、彼女が絶対サノスを倒す鍵になる!と確信して疑わなかったのですが、物語全体を見直すと、正直そこまで重要な役割を担っていなかったような。。確かにトニーを地球に帰還させたのは超ファインプレーだし、BIG3が束になっても敵わなかったサノスとタイマンでやりあえているという衝撃はありましたが、「思ってたより大人しかったな」という印象。そもそもほぼほぼ地球にいなかったし。まあ、能力がチートすぎるので、あんまり関わってしまうと「あいつ一人でいいじゃん」状態になってしまうので、扱いが難しいという問題のせいが大きいのかも。

話は逸れますが、5年後の彼女の髪型は結構衝撃でした。特に事前情報も出ていなかったので… ヒーローライクな髪型もバッチリカッコよかった!!

 

 ・キャップのインフィニティ・ストーン原状回復物語・・・6つのインフィニティ・ストーンを過去から拝借したアベンジャーズは、別の時間軸の流れを乱さない為に集めた石を元に戻すことに。その役割をキャプテン・アメリカが担います。劇中では特に何も描かれていませんでしたが、これってとんでもなく大変なことだよね?! チタウリが侵略したNY、1970年代、アスカルド、モラグ、そしてヴォーミア… これら一つ一つにキャップが出向かないといかないのです。特にヴォーミア。あそこにはキャップの宿敵・レッドスカル(『ファースト・アベンジャー』参照)がいるし、ソウル・ストーンの手に入れる為には犠牲が必要でしたが、元に戻す為には何が必要なの…?

もう、普通に一本の映画にできそうな中身ですね。

 

 

◎ 意外なMVP

個人的に本作のMVPだと感じたのは、ネビュラスコット=アントマンの2名。

ネビュラは前作ラストでトニーとともにタイタンから生還した貴重な一人。そして、過去へタイムトラベルをした際には、当時は腹心の部下だった過去のネビュラが現在のネビュラを介しメモリーを解析して過去のサノスに全ての計画をバラしてしまうという離れ業を披露。本作は彼女なしでは成り立たなかったと言っても過言ではありません。満場一致で本作における狂言回しでしたね。

因みに、ネビュラを演じたカレン・ギラン。映画の中では特殊メイクで素顔が非常に分かりにくいのですが、素顔の彼女はめちゃくちゃ美人でめちゃくちゃスタイルも良い最強女子なんだということを付け加えておきます。

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そして、スコット。今まで単独映画以外ではあまり良いところがなかったイメージですが、今作では満を辞して大活躍してくれて本当に良かった。。 疑いようもなくヒーローの心を持っているのに、とあることで社会的弱者になってしまった彼は、誰でも共感できる、そして応援したくなるヒーローなのです。(スパイディと同じ枠ですね)

スコットと大事な一人娘キャシーの再開は本作の一,二を争う涙腺崩壊ポイントでした。5年の歳月って子ども換算だとびっくりするぐらい成長早いよねえ。。

そういえば、単独作で大人気のサイドキック、ルイスは全く言及ありませんでしたが、一体どこにいたんですかね…?

アントマン (字幕/吹替)

アントマン (字幕/吹替)

 今までのMCUの流れを知らなくても楽しめる&サクッと見れる、貴重なMCU作品。

 

◎ 本作のサノスについて

前作『インフィニティ・ウォー』で圧倒的な力を行使し、完全勝利を収めたヴィラン、サノス。 大好きなヒーロー達を半減させ、憎んでも憎み足りない悪役だったのは言うまでもないですが、ある意味で前作はこのサノスが実は主人公なんじゃないか?と思わせる節が幾つもありました。(ヴォーミアでのシーンはまさにそれ。ヴィランがするような展開じゃないだろ…) そして、彼の思想と目的も、100%悪とは言い切れないアンビバレントな感情も内包していたように感じます。サノスなりに平和を考えた結果なのではないか…僅かにそう思ってしまうことも。 彼が恐ろしいのは、その思想が100%正解だと信じて全く疑わない"確信犯"(正しい意味での)的な面だったと思います。今までの悪役とはアプローチが全く違う、まさにダース・ヴェイダーのように映画ヴィラン史に名を残す最高のキャラクターでした。

しかし、本作はどうだろう。前作までのサノスは冒頭で瞬殺されて(ある意味可哀想とも思える最期でした…)メインに出てくるのは過去のサノスなのですが、こいつがびっくりするぐらい小物だったのには笑いました。「全てを壊して一から作り変える」「破壊を楽しむとするか」なんて台詞は、前作のサノスなら絶対言わないし、どこかで気品さすら感じたサノスと同じサノスと思いたくない。

やはりヴォーミアでのガモーラの犠牲がサノスの心にも少なからず影響を与えたのか…? それを経ていないサノスはまだ覚悟が決まっていない未熟な状態であると。まあ、本作のサノスもめちゃめちゃ強いと言うことは共通してましたが。

ある意味、決着をつけたのはこのサノスの方で良かったなと思ったり。塵になって当然の小物さ加減でした。

 

因みに、前作でサノスが「トニーの名前を知っていた」「自身を"知識に呪われた存在"と称していた」のはこの出来事を既に経験していたから?でも過去の出来事を変えても現在の出来事は変わらないことが明言されていたし、そもそも過去のサノスは死んだし… タイムトラベルものはやっぱりややこしい…

 

 

◎ 3人とのお別れ

始まりがある物事には必ず終わりがあるもの。本作では3人のヒーローのお別れが描かれました。

 

一人目は、ナターシャ・ロマノフ=ブラック・ウィドウ

ソウル・ストーンを手にするために必要な"犠牲"の代償となりました。。この結末は予想だにしてなかった… 前作のガモーラに続き、ソウル・ストーンの犠牲は取り戻すことができないんだなって。。

2009年公開の『アイアンマン2』で初登場し、その後のMCUシリーズでは絶対欠かせないヒーローでした。だからこそ、ラストバトルに勝利したということを彼女にも知って欲しかったのは、観客の総意だと思います。スカヨハのアクション、たまらなく大好きだったな。。

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このシーン、本編は登場しなかったよね…?

アイアンマン2 (字幕/吹替)

アイアンマン2 (字幕/吹替)

 ナターシャ初登場作品。今見返して総じて言えることは、みんな若い。

 

二人目はスティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカ

全てが終わりインフィニティ・ストーンを戻す時間の旅を終えた後、現代に戻るのではなく、過去に戻って最愛の人・ペギーと一緒に過ごすことを選択しました

…スティーブがこの選択をしてくれて本当に良かったなと。考えてみると、ひ弱なもやし青年がある日突然ビルドアップ→キャプテン・アメリカとして戦争に担ぎ出される→氷漬けになり70年間冬眠→やっと起きたと思ったら世界中の様々な危機に立ち向かわされる。。 きっと心が休まる暇なんて一瞬もなかったでしょう。だからこそ、最後の最後に"同じ時を過ごすはずだった人=ペギー"と約束通り同じ時を"スティーブとして"過ごせたことで、彼の心の氷もやっと溶かすことができたんだなって。。

そして、キャプテン・アメリカの盾はサム=ファルコンの手へ。考えてみれば、彼もスティーブと同じく、特殊な力は持たなくても誰を救いたいという一心のみで戦ってきた高潔なヒーローです。"二代目"キャップはこれからどんな活躍を見せてくれることでしょうか。

 

三人目は、トニー・スターク=アイアンマン

ラストバトルでサノスから土壇場で奪い返した6つのインフィニティ・ストーンの力を行使。全てのサノス軍を塵に返したことで決着をつけたのでした。まさに、これがストレンジが予知した1/1400万605

しかし、サノスやハルクですら死にかけたその膨大なパワーに一人の人間に耐えられるわけがなく…

 

…彼について書くともう本当にキリがないのでやめておきます。

この人がいなければ何も始まりませんでした。ただ、一人の観客が言えることといえば…ありがとうトニー、3000回愛してます。

 

 

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・連想した作品

 長年見てきたシリーズが終わってしまった万感の思い。一番近いと感じたのはこれ。

 

 

デッドプール2 (字幕/吹替)

デッドプール2 (字幕/吹替)

 タイムトラベルを悪用している作品。ダメ、ゼッタイ。