シネフィルとは呼べなくて。

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『アクアマン』感想 世界でも数少ない酷評レビュー

『アクアマン』

(原題:Aquaman)

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30点 / 100点(満点中)

ひとこと・・・びっくりするほど合わなかった…

 

あらすじ:海底に広がる巨大な帝国アトランティスを築いた海底人たちの王女を母に持ち、人間の血も引くアクアマンは、アーサー・カリーという名の人間として地上で育てられた。やがて、アトランティスが人類を征服しようと地上に攻め入り、アクアマンは、アトランティスとの戦いに身を投じていく。(映画.com作品紹介ページより)

 

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※以下、本作を好きな方は不快になる恐れがあるので注意!

 

 

◎DCユニバース起死回生の一作

『マン・オブ・スティール』から始まったDCユニバースの6作目に該当する作品。

ラストバトルの街の破壊っぷりは笑っちゃうけど、大好きな映画です。 

 

DCユニバースの特徴といえば「ダークな作風」です。そもそもDCユニバースが発足される前に公開されたクリストファー・ノーランのメガヒット作『ダークナイト』が徹底したシリアス路線だったこともあり、そのDNAが受け継がれ、「DCといえばダーク」というアイデンティティーが確立されていきました。デッドプールにネタにされる程に

ダークナイト (字幕/吹替)

ダークナイト (字幕/吹替)

 アメコミ映画史どころか、映画史そのものも塗り替えてしまった一作。大好きという言葉では足りない程、自分の中で大切な作品です。

 

しかし、ライバルアメコミ会社である「マーベル」の映画ユニバース「MCU」が大成功を収め、DCユニバースは大きく水をあけられることに。また、マーベルはその路線がDCとは真逆の明るめだった為、DCの専売特許であった「ダークさ」は時代のトレンドと逆行していき、どんどん影を潜めていきました。。

DC版『アベンジャーズ』とも言うべき『ジャスティス・リーグ』に関しても、監督降板でテコ入れされ、メンバー同士の軽口やジョークを言うシーンも目立ち、やっぱり明るめの方向にシフトしているなという印象を受けました。

ジャスティス・リーグ (字幕/吹替)

ジャスティス・リーグ (字幕/吹替)

 これはこれで好きなんですけどね。でもまだダークさは随所に紛れていたり。

 

もはや、絶滅危惧と化したDCのアイデンティティー。時代に合わないなら仕方ないとも思うのですが、やはり『ダークナイト』で衝撃を受けた人間にとっては少し寂しく感じたりもします。マーベルはマーベルで勿論大好きなので、うまく住み分けができたら最高なのですが、映画はヒットしてなんぼの世界だからな…

そんな波乱万丈のDCユニバースですが、文句言いつつも歴代の5作品は漏れなく大好きな映画です。明るい作風も何だかんだ楽しいもんね。うん。

 

そして6本目の本作。アメリカではDCユニバース上No.1のヒットを飛ばしているニュースが入ってきたり、日本でも公開するや否や絶賛のレビューの嵐だったり。

これはまさにDCの起死回生の作品になっているのでは…! 何の疑いもなしに劇場に向かったのですが…

ごめんなさい、自分でもびっくりするほど合わなかったです。

 

◎合わなかった理由

まず、何が合わなかったのか、箇条書きにしました。

①爆発が飽和状態でメリハリがない

②水中アクションに面白みが感じられない

③ 2時間半弱やるような内容じゃない

④(主にブラックパンサーで見た)既視感の拭えないストーリー

⑤DC作品のダークさがほぼない

⑥DCユニバースのつながりがほぼ感じられない

 

①と②に関して、まず大前提でアクション自体は迫力あって良かったです。1カット長回し風の撮影も良かったのですが… とにかく画面のどこかでドッカンバッコンやってるものだから途中から正直食傷気味になっている自分がいました。しかも、爆発のやり方もほっと一息→ドーン!!というよくありがちな演出が口説いほど出てくるんだもん… それが良いという人がいるのは理解できます。が、自分には途中から全てどうでもよく思えてしまいました。

また、ありそうでなかった水中のアクションシーンも驚くほど新鮮さを感じられず。水中というギミックを活かしたアクションも特になかったかなあ。画面も暗いし、声もエコーかかってるし。。

因みに本作で印象に残ったシーンを思い出してみると、冒頭の灯台での二コール・キッドマンのアクションシーンとシチリアでのブラックマンタとのチェイスシーンでした。全部地上ですね。

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シチリアチェイスシーンはカメラワークも凝っててグッド!

 

③についても、うーん、こんなに長い上映時間必要なのか?と。公式サイトを始め、映画サイトの作品紹介ページのどこでも今作のあらすじ紹介がとにかく短い。まあ、中身ないよね、この映画… アクアマンというだけあって海か陸だけにいればいいのに、砂漠や空など、全く関係ないところまで行くのもどうなのかと。途中からインディジョーンズになってるし。 正直、100分程度でまとまっててもおかしくない映画でした。

 

④のストーリーに関しても既視感が拭えず。特にブラックパンサーそっくりじゃなかったこれ…? 

・舞台は普段人類が踏み入れることのできない未知の世界

・純血と半純血の玉座を巡る戦争

・一度決闘を申し込まれ、負ける

・異なる異民族を束ねていく

等々、パッと思いつくだけでも沢山出てくる。。

また、人間を遥かに凌駕する"神"の物語、血が(完全には)繋がっていない兄弟同士の争い、弟がヴィラン、ほぼほぼ全能の武器が登場する(トライデント)等、『マイティ・ソー』シリーズに通じる要素もありましたね…(ソーの該当する武器はムジョルニア)

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色々デジャヴな二人。

 

⑤と⑥に関しては、逆にこれがあると嫌いという人がいるのは分かります。しかしDCユニバースを見続けてた人間としては、これは本当にDCユニバースなの?という印象です。(今までのDC作品も多少はダークな部分あったよ)

悩んで悩みぬく様子も皆無なアーサー・カリーを見ると、あの殺し合いをしたスーパーマンバットマンと同じ世界にいるヒーローなのかと。

また、『ジャスティス・リーグ』に出てきて一応世界を救った仲間なのに、本作では他のヒーローに関する言及も皆無なのには驚きました。唯一のユニバース要素はメラの「ステッペンウルフジャスティスリーグヴィランを倒した」というセリフのみでは?『ワンダーウーマン』のように文面だけでもいいから、繋がりを見せて欲しかったなあ。そこはMCUに遠く及ばずな点ですね。。

 

もちろん良かった面もありましたよ。上で書いた長回しアクションも良かったし、ジェイソン・モモア演じるアクアマンも、コミックとは違ったワイルドさ全面で格好良かったし、メラのリアルリトルマーメイドっぷりも様になってました。

しかし、あまりに絶賛の声ばかり耳に入ってしまうあたり、何だか自分だけこんなに合わなかったのかと疎外感を感じてしまいますね(笑)

おそらく世界的にもレアであろう、「絶賛ではないレビュー」に意義を無理やり感じて筆を置くことにしましょう…

 

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このスーツ、鱗(?)部分がキルモンガーを彷彿としてゾワっとしたり(笑)  そういえばキルモンガーとは同じ王族のハーフという共通点がありますね。

 

 

 

因みにDCユニバースの次回作は『シャザム!』。さらに明るい×ユニバースのつながりもなさそうな路線を進めていくんですね。。 DCファンの願いは一つ、「ただ単純に面白い作品」になっていることを期待します。

 

 

・連想した作品

ブラックパンサー (字幕版)

ブラックパンサー (字幕版)

 本当似てると思うんだけどなあ…

 

 同じジェームズ・ワン監督作品。これも世間的には高評価でしたが、爆発過多で食傷気味になったのを思い出しました。ただ単純にこの監督との相性が悪いのかな…