『 アリータ:バトル・エンジェル』感想 俺たちの戦いはこれからだ!
『 アリータ:バトル・エンジェル』
(原題:Alita: Battle Angel)
50点 / 100点(満点中)
ひとこと・・・キャメロン風「レディ・プレイヤー1」
あらすじ:数百年後の未来。スクラップの山の中から奇跡的に脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータは、サイバー医師のイド博士によって新たな体を与えられ、目を覚ます。しかし彼女は、自分の過去や今いる世界についてなど、一切の記憶が失われていた。やがてアリータは、自分が300年前に失われたはずの最終兵器として作られたことを知り、そんな兵器としての彼女を破壊するため、次々と凶悪な殺人サイボーグが送り込まれてくる。アリータは、あどけない少女の外見とは裏腹の驚異的な格闘スキルをもって、迫り来る敵たちを圧倒していくが……。(映画.com 作品紹介ページより)
◎念願の念願の実写化
ジェームズ・キャメロン監督が長年映像化を熱望していたという日本のマンガ作品、「銃夢」の実写映画です。
原作は未読です。まとめ読みしたい…
wikipediaによると、あの『アバター』の企画前よりも存在していたそうな。まさに念願ですね。。
続編が現在絶賛制作中とのことですが、一体どうなることやら…
しかし、ご存知の通りキャメロン監督は『アバター』シリーズの制作に専念する為、監督はロバート・ロドリゲスに譲ることになりました。
彼のフィルモグラフィと言えば、『シン・シティ』『マチェーテ』等のスプラッターもの、『スパイキッズ』シリーズ等、ファミリーでも鑑賞できるものの、やけに二極化してるのが特徴(?)です。
振り幅凄すぎ。。そしてどっちも出るジェシカ・アルバ。
監督が決定してからも、制作はスムーズに進まなかったようで、公開が2回も延期されるという憂き目に遭っています。特に2018年12月は3年ぶりにスター・ウォーズシリーズが公開されないという他の洋画にとってはヒットのチャンス月だったのに、勿体ないなあという印象。結局年末年始は洋画大作の公開が特にないという珍しい現象が発生していました。
またまたwikipediaからの引用をすると、2000年には既に制作が始まっていたということで、制作から公開まで19年ということになります。それを踏まえて鑑賞するとまた一味違う感動があるかも…?
◎26世紀の荒廃した世界に浸かろう
さて、本作の感想を一言で表すと、世界観は結構好みだったけど、ストーリーが若干雑&駆け足気味だなぁ…という印象でした。制作19年は凄いけどね。。うん。。
まず、オープニングで20世紀フォックスのファンファーレが流れる瞬間から一気にアリータの世界に引きづりこまれます。
多分世界で一番有名な映画会社のオープニング。『X-MEN』シリーズでは「FOX」の「X」だけ最後まで消えなかったり、最近では『ボヘミアン・ラプソディ』でブライアンメイナイズされた音楽にアレンジされてたり。。作品ごとに微妙に変化するこのオープニングが楽しみな映画ファンも少なくないと思います。
今作では何が起こるかは書かないでおきますが。。びっくりすること間違いなしです。
舞台は没落戦争【ザ・フォール】から300年後の荒廃した世界で、地表の「アイアン・シティ」以外に天空都市の桃源郷「ザレム」が存在しているという設定です。 この世界観の作り込みっぷりが本当に見事の一言です。セットやCGとはとても思えない。
邦画がこのレベルに達するまであとどれぐらいの時間が必要なのか…
この世界観、直近の作品でいうと『レディ・プレイヤー1』を彷彿としました。荒廃した世界で各々が夢の為にゲームに挑む的な感じ…?
ただ、あちらはスピルバーグ節が随所に散りばめられていましたが、こちらはTHE・キャメロン節。
人ではない人型の女性が自分の未来を切り開く為に戦うなんて、まさにキャメロン監督のテンプレートのような感じですね。
キャメロン作品はとにかく女性が強い。
また、主人公のアリータもとても良かったです。本作最大の特徴である「大きい瞳」に抵抗感がある人も多いのではと思いますが(どちらかというと自分もそう)、映画を見始めると違和感はすぐ無くなりました。しかし、原作の画を見る限りではそこまで大きい眼は強調されていないと思うのですが… 目が大きいのはアメリカにおける「manga」のパブリックイメージみたいなものなのかな…?
因みにアリータ生みの親のイド博士を演じたクリストフ・ヴァルツですが、過去演じた悪役たちのイメージが強すぎてあまり良い人に見えなかったですね。
常に裏切りそうなイメージがついて回る…
また、自分は「IMAX 3D」で鑑賞したのですが、IMAXの恩恵を存分に受けて迫力が増していてオススメですよ!通常は横長のシネマスコープサイズですが、アクションシーンメインで画面サイズが1.9:1と縦に拡大します。最近のアメコミ映画によくある上映形態ですね。
◎イマイチ乗れなかった理由
世界観はたしかに素晴らしかったのですが、悲しいかな、作品自体にはあまりのめり込めなかったのも事実であり…
それは、
①用語&設定の説明がなく何が起こってるか分かりにくい ②登場人物の行動が若干不自然
大まかに2箇所。
①に関しては原作を読んでる人なら軽くクリアできるし、また説明過多な映画になってしまうのもそれはそれで嫌なんですがね…
上にも書いた「ザ・フォール」「ザレム」に加え、「バーサーカーボディ」「ノヴァ」「センチュリアン」等、とにかく聞き慣れないカタカナ語が飛び交い、正直話に置いてかれないようにするのがやっとでした。マンガなら読み返すこともできるけど、映画館で見る映画は巻き戻しも一時停止もググることもできないからなあ。。
加えて、アリータ世界独自の設定(システム)も足りなかった印象。「モーターボール」「ハンターウォーリアー」←特にこの2つ。一応物語が進む上で何となく分かる仕組みにはなってましたが… モーターボールは結局、最終的に何をすれば勝ちなんだっけ?ボール運んでゴールした人?ハリポタシリーズのクィディッチのように、多少説明過多になってもちゃんと説明してほしかった…
②についても説明不足と言っていいのかもしれませんが… 登場人物の行動原理に「?」マークが付くことがありました。特にイド博士。あんなにアリータにモーターボールをやらせることを拒んでたのに、いつのまにか普通にモーターボールに出るアリータを応援してたのって、何か説明あったっけ…? あとはハンターウォーリアーとお尋ね者?の関係性もイマイチ分からず、誰が何を何の為に襲っているのか理解しづらいので、物語にどっぷり入り込めないんですよね。。
モーターボール周りはもっと説明あっても良かったと思うんだよね…
似たような『レディ・プレイヤー1』ではそんな現象は一切なかっただけに、もう少し分かりやすい作りになってても良いんじゃないかなあという印象でした。
この説明不足さを受け入れるかそうでないかで評価は大きく分かれそうです。
+++以下、ネタバレ注意!+++
【ネタバレあり感想、ツッコミ】
◎ある意味、トンデモないラスト
結局、金を積んでもザレムには行けず全てベクターに騙されてると知ったヒューゴが追っ手に襲われ重症→ロボットの体に移植(この展開、アバターそっくり…) ロボットの体でザレムに向かうも敵の罠に陥りアリータの助けも虚しくヒューゴ死亡→ベクターは始末したが全ての黒幕はノヴァだった→ノヴァに向けて宣戦布告したところで話は終わりました。打ち切りジャンプ漫画か。
予告でも写ってたこのシーンがラストだったとは…
この映画で一番受け付けなかったのはこのエンディングかもしれません。え?ここで終わり?と誰しもが思うこと間違いなし。だって話纏まってないじゃん…
この投げっぷりは個人的に『ホビット 竜に奪われた王国』を思い出しました。
エンディングで劇場がざわついた一作。
でもあちらは3部作の中の2部作目で、すぐに続きがあることを分かってたのですが、こちらは多分続編は決まっておらず、あるとしても『アバター』のように10年後になるかも。。
続きのあるなしに関わらず、最低限1本の作品として話が完結することは映画の必須条件だと思うので、この終わり方はいただけないなあと。これで納得して帰る人いるんですかね。。
因みに黒幕のノヴァはノンクレジットでしたが、見た限りではエドワード・ノートンが演じてました。
彼の暴れっぷりが観れるのはいつになることやら…笑
・連想した作品
クリストフ・ヴァルツと大きい瞳との謎の因縁。
日本の作品が原作×主人公が人造の女性×未来の世界が舞台 と何かと共通点の多い一作。